すきま時間、アプリで学ぶ生け花アート

アトリエは今!お稽古と五目寿司の物語(3-3)


五目寿司、一つ一つの具材は活かされた材質と、味付けされた極上のもの。


具材1: 人財

生徒さんA:
アトリエに通い出してまだ2年足らず。訪問看護のお仕事をされていて忙しい日常の中の癒しの時間。生け花は初めての体験ですが、動じることなく楽しんでいます。超高速の生け手で、訪問看護先でお花を生けてあげたいという夢が膨らんでいるようです。


生徒さんB:

お菓子好きのBさんは時々お稽古が終わるころ、大きなバッグの底からお菓子を取り出します。その時の笑顔で周囲はもう既にお菓子への期待をしています。さらに、持ち込んだ花器で創作を開始します。


物静かなCさん:

シャイで静か、コツコツとテーブルの端で生けています。7~8年ほど前のワークショップに参加されたことがきっかけです。お仕事がお休みの日曜日にはお茶のお稽古に通っています。そこで出会った茶花に惹かれていたそうです。


具材2: 花器

器は花器だけでなく、空き箱や笊(ざる)、お茶道具の建水なども使用します。異なる使い方には独自の味わいがあります。


具材3: アトリエの夢

伝わらなければ文化は衰退してしまいます。
アトリエの大きな夢は、暮らしの中の文化としての生け花が地球を取り巻くこと。
小さな夢は、いつもの場所に生け花があり、いつもの人と鑑賞できること。


今後は在日外国人にも積極的にワークショップへのお誘いするプランの作成と、指導者の育成クラスへの誘導など、美味しい具材を揃えたいと思います。


具材の補足1:ある日のアトリエ風景です。

小さなディスカッションになる時があったり、無になる非日常空間でリフレッシュしていたり、それぞれのそれぞれの時のアトリエです。




具材の補足2:おもしろ花器

お茶道具の建水や暮らしで使っている笊(ざる)、段ボール箱に木製の空き箱(これはお酒が入っていました)、さらには園芸で使用する道具入れなど、いわゆる暮らしの雑貨には独特の味わいがあります。

下、右の写真は段ボール箱の中に野草のチガヤを生けたものです。チガヤを眺めていると、一般的な花器よりも素朴な何かを使いたいと思い、このようにしてみました。






具材の補足3:夢は未来を創る

指導者がいないと伝わっていかないと長い間思い続けてきました。しかし、それは独り相撲のようなものでした。10年ほど前に指導方針を転換してから、人が増え、生徒の中には生け花を視野に入れた将来の夢を持つ方も現れました。

その頃から常に言い続けている言葉があります。
「いつの時代、どの国や地域でも人は、嬉しい時悲しい時に傍らに花を置いた。」

この言葉を通じて、生け花の普遍的な価値とその深い意味が生徒たちに伝わっていきました。そして今、極上の五目寿司の具材が整いつつあります。生け花の指導が成功し、未来への夢が形になりつつあるのです。


by 野花人