すきま時間、アプリで学ぶ生け花アート

アトリエは今!お稽古と五目寿司の物語(3-1)


. お稽古はじめの様子

お稽古には目安の時間はありますが、決まった時間はありません。

家事がひと段落してやってくる人、先のお稽古を終えて少し疲れ気味でやってくる小学生、仕事帰りの人――それぞれが日常の中から自分の目的に向かって集まるアトリエでは、非日常の時間が始まります。

初めて参加する人は少し緊張気味でも、先輩たちの雰囲気を読み取り、いつの間にか馴染んでいきます。

生け花のお稽古では、通常は役枝の説明や、その長さ、生ける角度などをお伝えするものですが、このアトリエでは10年ほど前からそれを辞めています。
初めての方や、久しぶりに生け花を再開する方に最初にお伝えする言葉は、

「購入した花材ですが、先ほど庭から切ってきたと思ってください。その庭のイメージを器の中に再現しましょう」というものです。

野原や庭を心に思い浮かべることからスタートします。

2. 基本で重視することは「向かい合う」…花材と、器と、そして自分と向かう時間

1.でも述べましたが、役枝についての説明は最初には行いません。
それよりも大切だと思うのは、「向かい合う」ことです。
花材の特徴を知り、選んだ器が適切かどうかを考え、そして自身の思いに沿って手を動かすことへと導きます。

役枝などの説明は、生徒さんによって伝える時期が異なります。指導のマニュアルの数は、生徒さんの数だけ存在すると考えてください。

 ある時、ゆったりとした雰囲気の方が参加されることになりました。周りに対する心遣いもある方でした。花材に向かい合い一生懸命になっているその方の手のひらは何かに焦っているようでワサワサとせわしない。そうしているうちに体温でお花が弱ってしまいます。ギリギリまで様子を伺い、そこでアドバイスに入ります。この生徒さんへのカリキュラムは「落ち着いた手になること」でした。

手が落ち着きだした頃、同時に素敵で優しい作品が生けられるようになりました。

3. 目標の違い

生け花のお稽古に参加する理由や目標は人それぞれです。趣味として楽しむ人、心のリフレッシュを求める人、誰かの為に生ける人など目標は多岐にわたります。これらの違いがそれぞれの作品に独自の味わいをもたらします。

4.集まる人たちの多様な雰囲気

お稽古に集まる人たちの雰囲気は、それぞれの個性や背景によって異なります。ある人はリラックスした雰囲気を求め、ある人は技術向上を目指して真剣に取り組みます。この多様性が、お稽古場の魅力の一つです。

5. 個性の表現

生け花は、自分の感性や考えを表現する芸術です。花材の選び方や配置の仕方など、すべてにその人の個性が現れます。その違いを尊重し合うことで、お互いの理解を深めることができます。
認める、そして認められることは人生にとってもとても大切なことです。




入会されてまだ一年少々の生徒さんです。手つきはプロ!





お喋りの少ないクラスです。静かですが温かい空気がながれ、パワーのあるメンバーのお揃いです。


by 野花人